くすりのテヅカ戻る
花粉症は、
免疫の働きすぎ?

監修:斉藤博久(国立小児病院 医学博士
病原性のない花粉に反応
 私たちは一呼吸ごとに、細菌やウイルスなど異物の混じった空気を鼻や口から吸い込んでいます。それなのに病気にならないのは、鼻・のど・気管支・肺の粘膜の中をパトロールしているリンパ軍団が異物を捕まえ、取り除いてくれているお陰です。侵入してきた病原体を(抗原)といいますが、これに対抗して体内に(抗体)というタンパク質が作られて毒性を中和したりしているのです。このようなリンパ軍団による防衛システムを(免疫反応)といいます。 しかし、せっかくの免疫反応も過剰に働くと、かえって体にとって不利益な結果をもたらします。こうした反応をアレルギーといい、もともと病原性のない花粉に対してもアレルギー反応が起こりこれを(花粉症)というのです。
ヒスタミンが仲立ち
 スギ花粉症の穂とは、スビ花粉が飛ぶ2月下旬から4月初旬ごろまでクシャミを連発したり、鼻水や鼻づまりに見舞われますが、アレルギー反応のしくみを描いたのが下の図です。花粉が鼻の粘膜にくっつくと、その抗原を捕まえた抗原提示細胞から情報がTh2細胞に伝わり、インターロイキン4という物質が作られます。その結果、B細胞がIgE(免疫グロブリンE)という抗体を大量に津っリ出します。この抗体が粘膜ッ組織の一部である肥満細胞に結合して、感作が成立します。その後、肥満細胞に結合している抗体に、花粉の抗原が再侵入してきて結合すると、ヒスタミンなど化学物質の詰まったミクロの袋(顆粒)が放出されます。袋が破れて中野ヒスタアミンなどが周囲にばらまかれると、毛細血管の壁がすかすかになり、血液中の水分がどんどん鼻の中にしみみ出し、粘膜が腫れるので、鼻水や鼻づまりが怒ります。

(イメージ図)
鼻・目・のどに集中
 花粉症の首相王はくしゃみ・鼻水・鼻づまりでsyが、花粉が目に入るとアレルギー性結膜炎を起こし、目が痒くなって涙が出ます。要するにどの症状も侵入するスギ花粉を追い出すための防衛反応なのです。人によっては咽頭炎や候頭炎を併発して、のどが痛んでセキが出たり、皮膚炎のために頭がかゆくなったありもします。たいていは局所の症状だけで発熱はありませんが、鼻や目や顔のかゆみのために寝不足に陥るとイライラ感がつのり、全身のだるさや不調を訴えることもあります。ともかく日本では人口の数割※が毎春、スギ花粉症に悩まされているのです。
暮らし方に気を配ろう
 くしゃみや鼻みずの軽い場合は抗ヒスタミン剤の内服薬が良く効き、花粉の飛散が始まる1〜2週間まえから飲み続ければ重症化が防げます。症状が重いときは、点鼻薬などが役立ちます。なお、花粉症のッ症状は体調が良くないとき重くなるので、カゼをひかないように用心し過労や精神的ストレスを避けなければなりません。室内に花粉をッ侵入させないことが原則ですから、しっかり窓を締め切り、洗濯物も部屋の中に干します。また外出すっるときはmスクや花粉症用眼鏡をつけ、外出後は頭髪や衣類をよく洗いましょう。寝室や居間にエアクリーナーを置けば花粉の量が減らせます。さらに鼻の粘膜の乾燥を防ぐには部屋を加湿したり、マスクをつけていると効果があります。