紫外線による
「光老化」にご用心
紫外線UVBが
シミを作り
UVAがしわを刻む

監修:田上八郎(東北大学医学部皮膚科教授
長年にわたって健康増進のために
と勧められてきた「日光浴」が、母
子健康手帳から消えました。紫外
線による悪影響が皮膚の老化を早
めることが判明したからです。専門
家は太陽光による皮膚の老化を
「光老化」と呼んで注意を促してい
ますが、若々しい肌の維持には
夏の日差しはもちろん、冬の日光
にも上手な対処が必要です。

まず表皮にシミが出る

1年のうち4〜9月にかけては、太
陽光の紫外線が最も多くなり
ます。
波長の長い紫外線A(UVA)は曇り
の日も容赦なく降り注ぎ、ガラス
窓も透過して表皮の下の真皮に
まで達します(図参照)。それより
波長の短い紫外線B(UVB)は表皮
で止まりますが、波長が短い分だ
けエネルギーが強く、ダメージを
与えやすくなります。真っ赤に日焼
けした肌がだんだん黒ずんでくる
のは、表皮の中の色素細胞が
褐色のメラニン色素を作って紫外
線の透過を防ごうとするためです
が、

これを異常事態として必要以上に
メラニン色素を作り続けることがあ
ります。35歳前後から目立ってくる
シミなどが、光老化の第1段なの
です。
真皮がたるんでシワになる

日焼けで皮膚が赤くなると、表皮
細胞の遺伝子(DNA)にも異変が
起こります。真夏の快晴の昼問
に太陽光を1時間浴びると、1つ1つ
の細胞の遺伝子に百万個もの傷が
つくといわれています。2〜3日も
すれぱ、ほぼ傷は修復されますが、
治らないまま残った傷が増えると、
シミだけでなくシワの原因になり
ます。冬の日光にも含まれ、真皮
まで達する紫外線Aの害作用が
加わると、皮膚全体の張りが失わ
れ光老化の第2段となります。また、
発ガンに関係する遺伝子に突然
変異が起こると、皮膚ガンなどに
発展する恐れがあります。

子供時代の影響が怖い
光老化に最も脅威を感じ、熱心に
研究を続けているのが豪・米の皮膚
科医たちです。白人には褐色のメラ
ニン色素がほとんどなく、紫外線の
影響をもろに受けるため加齢に伴
い皮膚ガンになる可能性が高ま
るからです。子供時代に紫外線で
生じた遺伝子の傷が修復されない
まま、どんどん細胞に蓄積される
と、発ガン遺伝子の突然変異が
起こり、それがさらに蓄積されて
皮膚ガンの引き金となる心配が
あるのです。
そこで子供には長そで・長ズボン
を着せ、顔や手には日焼け止め
クリームを塗り、帽子をかぶり、
日陰で遊ぶように指導しています。

遮光と活性酸素対策

日本人はこれまで、日焼けには
とても寛大でした。真夏の日差し
を20分も浴びたら肌が真っ赤に
なるような色白の人は特に、子供
時代から遮光に気を配らなけれ
ば、20歳代からシミやシワに悩ま
されることになります。また近年、
長寿社会となった日本でも皮膚
ガンやその一歩手前の前ガン症
患者が増えてきているともいわれ
ます。
■地上に届く太陽光線
  
戻る
紫外線を浴びた表皮では活性酸
素が作られ、遺伝子を傷つけたり
修復反応を邪魔したりします。日
焼けした後すぐ皮膚を冷やせぱ、
炎症による活性酸素の発生が抑
えられますが、ビタミンCやビタミン
Eにも抗酸化作用があります。

これらの情報は、食材の学術情報で
製品と直接関係ありません。