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季節のトピックス
生活環境にふだんから気を配り
花粉アレルギーとうまく付き合う

監修:笠井 創 (笠井耳鼻咽喉科クリニック・自由が丘診療室 院長)
水ぬるみ梅の花が咲き始めれば、ま
たスギ花粉アレルギーの季節です。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみ
に襲われ、街には口元をすっぽり覆う
マスクが目立ってきます。5月の連休
が明けてもアレルギー症状が長引く
場合は、スギだけでなく、ヒノキの
花粉アレルギーも併発しているのか
もしれません。

食事の欧米化が進んで
スギ花粉アレルギーが見つかった
のは1964年のこと。その後10年で
全国に広まり、いまや日本人の10〜
20%がかかっているといわれます。こ
れと並行して子供たちのアトピー性
皮膚炎や気管支ぜんそくも増えました。
花粉などによるアレルギー疾患が増
加した背景には、高度経済成長に伴
う生活環境の変化があります。
まず注目されるのはご飯や魚、豆腐、
野菜中心の和食から、パンと乳製品、
肉、卵を主体とした欧米風の食事へ
の転換です。栄養過多の高たんぱく
質・高脂質によって身体の免疫の
バランスが崩れると、アレルギー体質
が促進されて外界の異物に対して
敏感になるといわれます。またインス
タント食品や保存食、スナック類など
に含まれる食品添加物の影響も見過
ごせません。

大気汚染で粘膜が弱る
戦争で荒れ果てた山にはスギが植
林され、35〜45年たって成木となり
ました。有用な木材として利用される
はずでしたが、安い輸入木材に押さ
れて人気が落ち、枝打ちなどスギ林
の管理がほとんど行われなくなりました。
そのため枝が伸び放題となり、大量
の花粉をまき散らしています。
一方、都会でのスギ花粉アレルギー
の発症には、ディーゼル車の排ガスを
はじめとする大気汚染が関係している
といわれます。鼻や目の粘膜が有害
ガスの微粒子に傷めつけられると、
本来は無害な花粉に対しても過敏
反応を起こすのです。また、舗装
された道路からは、いったん着地
した花粉が再び舞い上がり、空気
中に長く滞留することになります。

ハウスダストによる
通年性のアレルギー症状も増加

どこの家も窓はアルミサッシで、昔
に比べて気密性が高まりました。
すきま風が減った分だけ換気が悪
く、部屋がカビやダニの温床になり
がちです。
特に床に敷いたカーペットの中には
ダニの死がいやフン、ペットの毛など
が大量に蓄積し、アレルギーの原因
物質(抗原)としてはたらきます。こう
した部屋のちり(ハウスダスト)で通年
性のアレルギー性鼻炎やアトピー性
皮膚炎、気管支ぜんそくが起こりま
す。また、これらのアレルギー症状
を重くしたり、発症の低年齢化にも、
ハウスダストは関係があるようです。
アレルギー日記などをつけて症状を
細かく書きとめておけぱ、何がアレ
ルギーの抗原になっているかの
診断に役立ちます。

体調を維持する心がけも童要
民族の体質は食べ物によって培わ
れます。日本人は大昔からお米や
大豆、魚や野菜になじんできました。
ですから洋食系よりも、たんぱく質
や脂質の少なめな和食のほうが免
疫バランスにとっても有利と考えら
れます。
しかし、何より大切なのは、なるべく
花粉に接しないようにすることです。
花粉の多い日は外出を控え、窓や戸
をしっかり閉めます。外出時はマスク
や眼鏡で防備を固め、花粉が付着し
にくいよう、表面がすべすべの上着を
着ます。帰宅時は家に入る前に衣類


         
から花粉をはたき落とし、すぐに顔
と手を洗い、うがいや洗眼、洗鼻を
心がけたいもの。洗濯物もなるべく
外に干さないようにしましょう。
花粉やハウスダストを滅らすため、
部屋や寝具によく掃除機をかけ、
必要なら空気清浄機を置きます。
厳密にいえばカーペットやぬいぐる
み、ペットとの接触も避けたほうが
無難です。重症化を回避するには
体調の維持も重要で、禁煙・節酒
を守り、睡眠不足や過剰な精神
的ストレスを避けるよう気を配り
ましょう。
花粉アレルギーの症状の緩和に内
服薬や点鼻薬、点眼薬などが役に
立ちます。お客さま一人ひとりのつら
い症状やお好みの剤形にあわせて、
おすすめください。

■アレルギー症状を軽くするために

この情報の、食材情報は学術情報であり、製品と直接関係はありません。